有性生殖なんてめんどくさいよな
人間に限らず多くの生き物では雄と雌がいる。
しかしながらそもそも原始の生物は単為生殖だった。
単為生殖って言うのは要するに自分と同じ個体を産む方法。
がしかし、一口に単為生殖と言っても実際にはいろいろある。
1.単細胞分裂
そもそも大腸菌みたいな原核生物や、単細胞生物が増える場合
一回分裂したら増えるわけで。
そりゃもう菌類なんて凄い勢いで自分と同じ細胞を作り出す。
一日で数億倍に膨れ上がる。もちろん栄養があればの話。
2.株分け
植物なんかの一部を切って植えてると、きちんと植えれば
根を生やしてそのまま根付く。
これも同じ個体という意味で単為生殖。
プラナリアを切って増やすという実験がよくあるが、これも
ここの分野に含まれる。
3.卵細胞での単為生殖
卵子を作る際に減数分裂を行わずに卵をつくり、それから子供が
生まれてくるというやり方。
こいつの場合、卵の状態で子供が生まれてくる。
ただし遺伝子レベルではクローンみたいなもの。
さて話はちと変わるが、なんで人間は、そして多くの生き物は
雄と雌なんかに分かれているのだろうか?
同じ遺伝子を持っている生き物ばっかりだと、病気に弱いのだ。
ある病気に弱い遺伝子をもってる生き物がいっぱいいたとする。
そこに病気が流行る。みんな死んでしまう。
そこで、いろんな遺伝子の組み合わせを掛け合わせが出来る
としたらどうだろうか。
ある病気に強い個体が生まれるかもしれない。
だから、その"種"としては生き残れる可能性が上がる。
しかし各個体としては生殖機会が減るわけだな。
だからある種のトカゲですら単為生殖を行う。
有性生殖ってのはリスクも結構でかいのだ。
オットセイなんてひどいもんだ。オットセイの雄のうち結婚できる雄は
全体の数パーセントに過ぎない。残りは一生独りだ。
人間だって今日、女性の方が少ないわけで男性はどうしたもんだろうか、
なぁんてことになってる。
だったらもう、人間も単為生殖で良いよと。
…さて、人間は単為生殖なんて出来るのだろうか。
クローンですら理論上可能なら単為生殖なんて余裕だろ?
…甘い、甘いすぎる。
蜂蜜に生クリームかけて砂糖まぶして食べるみたいなもんだ。
そんな簡単にはいかない。何故か?
実は哺乳類の性染色体は、ものすごく分化が進んでしまっている。
ある種の爬虫類では、発生の際の温度が性分化にかかわる。
温度によってオスになったりメスになったりする。
すげーいいかげんだなオイ。
ところが哺乳類ではそんなわけにはいかない。
妊娠した女性のおなかを暖めたら女の子になる、とかそんなわけは
ないのだ。染色体で決まってるんだから。
さて、単為発生が出来ないのは何故なのか?
染色体レベルの話だけだったら、女性から女性が生まれることが出来ても
良いのではないか?
先ずは減数分裂の話から。
卵子形成の際に卵核が形成される。
卵核は普通の核に比べて遺伝子が半分、だったら残りはどこへ行くのか?
残りは極体、というものになって捨てられてしまう。
だったらこいつが卵核と結合すりゃ良いじゃないかと思う。
が、卵核は精核(精子の核)と結合しないと発生に至らない。
鍵と鍵穴みたいになってしまっているのだ。
人間の単為生殖なんてやろうとするなら、その辺の問題を解決する
必要があるって言うかクローンの方が手っ取り早い。
ここまでめんどくさいことして作ったとしてもなあ。
ぶっちゃけ現実問題女性一人(男性一人でも良いけど)で
子供育てるのって大変だぞ。
…いや、育てたことがあるわけじゃないけど。
収入も一人分だし、それで二人食わせなければいけない。
あ、まあ同性同士で住むって手もあるけどさ。
…そこまでやるんだったら同棲でも結婚でも良いんじゃないのかと。
なんだかんだいって、人間って社会体制のなかでやっていかなきゃしょうがない。
…人間って社会性動物なんだよな本来。
最近孤独相の人間が増えてるわけで、どうなるんだろこの先。